「反議会主義」を克服し、「市民大連合」を!

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「反議会主義」を克服し、「市民大連合」を!
6/15から、参院選へ向けて
2007/07/20
                                     9条改憲阻止の会  藏田計成


 私たちは、6/15日比谷野音において1200名の集会参加を実現し、9条改憲阻止への強い決意を打ち固めました。この日の行動は、古希世代を軸にしながらも、あらゆる世代を越えて、肩書きを持たない668名の「呼びかけ人」が集会を主催し、参加を呼びかけ、運動の主役を演じました。
 参加者の多くは、ささやかながらも、9条改憲阻止への新しい第一歩の模索、期待感、決意をこめ、熱気を感じさせるに十分でした。なかには、過去、現在の困難、対立、分裂をこえて劇的な再会を果たした人たちも、少なくありませんでした。


 いま、6/15を終えた私たちに問われている課題とは、何でしょうか。
それは、多くの人たちがその日みせた決意と付託を胸に、過去の歴史の敗北を教訓にして、9条改憲を許さない一点で、大同にむけて前進することではないでしょうか。
 また、新たに派生しつつある求心力を強固に打ち固め、あらゆる個人、潮流、集団などの多様性の存在を保証し合い、その力を糾合しうるような運動の 共同体性の獲得にあるのではないでしょうか。
さらに、その共同体制の獲得によってのみ実現可能な「市民大連合」を、どのようにして創り出していくのか、その一点に、私たちが自らの命運を仮託することであると、確信しています。


 いうまでもなく、今回の「参議院選挙」は、たんなる国政選挙ではありません。9条改憲阻止の命運がかかる国政選挙です。
 過去の、どの選挙よりも重要です。とくに、9条改憲阻止を真正面に掲げ、阻止運動の最先端を走る候補者への、あらゆる支援・応援・参加・投票行動が求められているのではないでしょうか。いうならば、今回の参院選挙にかかわる諸活動の全量が、本格的に始まったばかりの、9条改憲阻止運動の成否に直結しているといっても、決して過言ではないと思います。


 私たちは、選挙運動のスタート地点において立遅れたために、明確な戦略・戦術を立てて選挙戦に臨むことができませんでした。にもかかわらず、投票日までの残された時間内にあって、最後まで「意味ある行動」につなげていく努力をすることは重要です。
 そのような試みの一つとして、過去において、私たちの先人達が闘ってきた、いくつかの国政選挙を振り返り、歴史の流れを概括するのも無駄ではないと思います。


 新左翼が取り組んだ、過去の主な参議院全国区の選挙と得票数は以下の通りです。これらの一連の経過をみると、全国区得票数の数値が、そのまま新左翼の選挙論ともいうべき「反議会主義論」を反映しているといえるかも知れません。

 60年安保闘争後
  62年 黒田寛一 2万3000票  
  65年 浜野哲夫 2万8000票

 70年安保・沖縄・全共闘運動後
  71年 高見圭二 13万票
  74年 戸村一作 24万票


 新左翼諸党派のなかにある「反議会主義論」が依拠する基本認識は、「ブルジョア議会は、ブルジョア支配の欺瞞性を覆い隠すイチジクの葉っぱ論」(レーニン)です。このブルジョア議会に対する評価が、新左翼の伝統的な「反議会主義=議会主義否定」論としていまに根強く受け継がれています。

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 このような議会主義否定論の淵源をたどるには、新左翼創成にまでさかのぼる必要があります。
 周知の通り、日本の新左翼創成にいたる直接的な契機は、1955年の日本共産党第6回全国協議会において確立された6全協路線=議会主義路線に対するアンチテーゼでした。その3年後、1958年ブント結成によって、新左翼は、歴史的な登場を成し遂げました。その基本綱領における立脚点は、「マルクス・レーニン主義の復権」「プロレタリア独裁(暴力革命)」「世界革命」でした。
 この主要な立脚点の一つである「プロレタリア独裁=暴力革命論」が、既成左翼=社共の「議会主義・平和革命路線」に対して先行対置されたかたちで、「反議会主義的消極論」として一般化されることになりました。その後は、一般的な議会主義否定論として定着し、主にブント系新左翼活動家の周辺に、明確な論理化をされないまま、少数派の無力感や絶望感も加味されて、雰囲気的に波及したというのが、実相に近いといえるかも知れません。
 また、議会内少数派への執着心の低下と諦念、政治的無力感、挫折感などを加味した理屈として援用されたかも知れません。


 この「新左翼・反議会主義論」に対して、「革命的議会主義論」を対置して国政選挙にはじめて挑戦したのが革共同の「黒田選挙」でした。「選挙・議会活動を媒介にした徹底的な議会利用主義、政治宣伝、扇動、暴露」などを戦術的手段・目的化したものでした。
 この他に議会主義路線を容認した党派は、反独占資本主義の立場にたつ日共系構改派=議会主義平和革命論、社青同系=議会主義路線があります。その後、65年革共同中核派系の浜野選挙では、ブント系「マル戦派」「長崎社研」も合流しました。
 これら一連の議会主義選挙路線に対する、ブント系活動家の批判は「議会主義は打倒対象に過ぎないし、議会内多数派は、幻想である」「議会を舞台にした最大の茶番劇場」「革命的という修辞上の形容詞をつければ、議会主義活動の内実も革命的になるとは限らない」というものでした。
 このような経過をへて、反革共同=ブント系活動家の間では、議会活動への消極論や、議会主義への全否定が根強く定着したわけです。


 新左翼内の議会主義論が二極化するなかで、そのまま「高見選挙」「戸村選挙」を迎えました。関係者の回想によると、前者の高見選挙は、13万票を集めました。しかも、他党派が参加しないままの、社民系列を含めた単独選挙(革共同中核派や第4インター系不参加)としては「大健闘」と総括されています。
 また、後者の戸村選挙は、得票数24万票でした。この24万という得票数が、新左翼の政治的立場を支持する不動の固定票という前提に立てば、新左翼全体の得票像も垣間見えてくるのかも知れません。おそらく、その周辺には、選挙で投じる一票が死票になることを避けた社共への投票組や、反議会主義=ボイコット組が相当数存在していると思われます。
 ある戸村選対関係者は、「フタを開けてみると、当初の目標=100万得票には届かず、がっかり。期待を大きく下回った選挙」と総括しています。もちろん、その実態や根拠とされる数値はヤブのなかですが、この100万票は、新左翼の得票数の上限となる、一つの目安かも知れません。念のため、100万票という数字は、参議院全国区では、ほぼ1議席分です。

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 このような新左翼諸党派や元活動家の周辺に根強く存在する反議会主義は、特殊日本的といえるかも知れません。
 この日本の政治的傾向を、西欧諸国の新左翼諸党派の議会主義路線と対比したとき、際立った違いをみせています。もし、西洋新左翼型の路線選択を教訓にするならば、日本新左翼においても新たな路線転換が求められています。
 たとえば、(1)反議会主義論からの訣別と止揚、(2)国政選挙や議会主義に対する問題意識の切り替え、(3)政策決定過程や議会活動における召還主義の克服など、さまざまな視点からのとらえ返しが、いまこそ必要ではないでしょうか。

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 いずれにしても、今回の参院選挙を取り組むに際しても、議会主義に対する双方の立場からの路線総括が必要です。でも、冒頭に指摘したように、目前に迫っている選挙を如何に闘うか、その具体的な「選挙戦術」が問われている真只中においては、選挙戦を闘うための戦略・戦術措定はすでに時間切れです。
 あとは悔いのないコマを各自、各様のやり方で進めていくだけです。そう遠くないであろう次の衆議院総選挙を勝ち抜くためにも、眼前の闘いに向けて、力と知恵をふりしぼることが必要です。遅ればせながら、以下数点だけ、提起しておきます。

◆提 起

 9条改憲阻止闘争は日本域内における民衆の命運にかかわるだけではありません。極東アジアの民衆の命運にも重なる重大な国民的政治課題です。
 それと同時に、国境を越えた重要な歴史的課題です。安倍極右内閣による「9条改憲」の野望を断ち切る民衆の力は、そのまま、新しい未来の極東の「アジア・レジューム」創成にもつながります。極東アジア民衆の連帯した闘いこそが、それを可能にします。私たちの9条改憲を許さない闘いはその第一歩であり、このことは行動の基底認識にすえるべきではないかと思います。


 安倍内閣が改憲を発議するためには、各議院の3分の2以上の賛成が必要です。現在、参議院で改憲を発議するには、改憲派の現有勢力は「29議席」不足しています。
 もし、今回の選挙でその不足分「29議席」を補うことができなければ、当面、改憲への邪悪な野望は絶たれることになります。その結果は、改憲派が改憲を実現する機会の到来は、3年後=2010年の参議院選に持ち越されることになります。このような参議院に限定した改憲情況から判断すると、国会における改憲発議を阻止するための、最初の重要な水際作戦が、今回の参議院における「3分の1多数派形成」であることが理解できると思います。
 さらに、「安倍敗退」が予想されている今回の参院選の結果に続いて、衆議院の動向も視野に入れておく必要があります。小泉=郵政選挙(05年)から起算して、向こう1年〜2年以内には、衆議院選が焦点化します。そのなかで、改憲派も必死で現有勢力の「3分の2多数派の維持」をめざすのは確実です。その際に、それを迎え撃つ総力戦体制が迫られてきます。
 このように、私たちは現時点で予想される政治スケジュールを遠望しながら、今回の参議院国政選挙にのぞむ論理の確立、態度の決定、方針の策定が求められています。


 「改憲手続法」(国民投票法)をめぐる国会前ハンスト・座り込み行動など、今春の院内外呼応した国会闘争は、貴重な教訓を残してくれました。
 第1に、行動すること=闘うことが、最高のプロパガンダであるという運動の哲理を示したこと。
 第2に、院内の圧倒的少数派(2対48)の闘いといえども、院内外における相呼応した行動は、大きな物質力に転化するこということでした。すなわち、その根拠とすべき指標をしめせば以下の通りです。
(1)議会の審議過程において、少しでも審議を引き延ばし、その欺瞞性を暴露することによって、世論調査の数値(読売、NHK)を微動させたこと。
(2)「改憲手続き法(国民投票法)の衆議院強行採決の翌日とはいえ、マスメディアが「国民投票法を廃案にせよ」(朝日)と社説に掲げたり、「改憲手続法」の問題点や欺瞞性を、はじめて全面的に紙面化したこと。
(3)過去7年間にわたる自民=民主改憲協議体制を崩壊に追いやるという事態が生じたこと。


 これらの事実から引き出すべき明白な教訓とは何か。
 それは、今秋から始まる国会憲法審査会の本格的な憲法論戦と、それに連動した院外の大衆闘争が車の両輪であるという、闘争・運動の基本原則を再確認させられたことではないでしょうか。そのような運動のあり方や、闘争の戦略配置を想定する場合、これまでのような階級闘争史観にもとづく、大衆闘争の戦略措定は、きわめて困難な事態にあるという事実は否めません。
 の厳しい現状を直視するならば、闘争の戦略・戦術形態もきわめて限定的な形態にならざるを得ないと思います。このような認識を大前提にするとして、いま、政治戦略の基底に何をすえることが必要でしょうか。少なくとも、マスコミの世論調査をみるかぎり、9条改憲反対派が現時点では国民の多数派です。そうだとすれば、改憲阻止の闘いは勝てる闘いです。
 の意味からして、勝つための闘い=勝利の陣形の構築が必要不可欠であるという認識であり、この前提命題を、まず何よりも確認することではないでしょうか。そのための一手段として、選挙=議会への転進も必要であり、巨万の民衆エネルギーを結集した一大デモンストレーションをめざした「お焼香デモ」「請願デモ」への原点回帰もありうるし、勝利への確実な第一歩は、この地平から始まるのではないでしょうか。


 私たちがめざすべき9条改憲阻止運動は、
(1)9条改憲を許さないという一点を、唯一の行動基準にすること。
(2)9条改憲阻止が行動目的であり、その実現手段が大同路線であること。
(3)個人参加、出入り自由を原則に、多様性を認めて互いの存在を保証し、相互のせめぎ合いを通じて共同体制を獲得し、この共同体制の実現を可能にする運動の質量だけが、巨大な民衆エネルギーの総結集を保証してくれるのではないか、ということ。
(4)私たちがめざすべき運動の場は、いっさいの政治党派=個別集団による利害の場とは無縁であり、個別集団は運動の利益に従属的であること。
(5)政治目的実現のための知恵と経験を出し合い、どこまでも一人ひとりが意思と行動における実践主体であること。
 このような5大原則を掲げた、その見果てぬ夢の彼方というべきかも知れませんが、新たな運動創出を可能にする理念、思想、運動の質をふくむ、そのような運動営為の延長線上にこそ、「3500万人の多数派形成」への展望が開けているのではないでしょうか。
 だから、この壮大な「市民連合」は、決して数に還元すべきものではありません。勝利するための道標であり、勝利をもたらす運動理念であり、勝利の結果がもたらす運動の到達点というべきかも知れません。

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 今回の参議院選挙活動に関しても、このような運動総路線の有益な一環に位置付けることは可能であり、必要です。過去の歴史の総敗退の結果がもたらした、現在の国政選挙制度のもとでは、個別分断的で非効率的とはいえ、一人ひとりが「たかが一票、されど一票」という仕組みのもとで、さまざまな政治的係わり方と選択を余儀なくされています。そのなかで、9条改憲阻止の意思と決意をこめて、最後には投票行動に結びつけることが求められていると思います。
 あとは、最善と思われる決断を期待するのみです。 
    (初出、07年7月第4週「ちきゅう座」サイト。それに加筆)
 
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