公務員制度改革法案をめぐる議論
選挙のたびに年金問題が浮上し、談合などの問題が日常茶飯事に新聞やテレビをにぎわしている。
公務員制度改革法案は自民党や与党にとっては参院選挙の日程を変更してまで成立せんとする重大法案になっているが、我々にはもう一つぴんとこない。
小沢一郎がこの法案を酷評しているのは紹介した通りであるが、それでも民主党がこの問題(官僚機構の改革)に歯切れが悪いことも事実である。民主党が連合(自治労)などに遠慮しているとは思わないが構想は明瞭でない。
課題−官僚機構の解体と再編
「政・官・財」の癒着とは国家権力(統治権力)が特権的に利益を分け合う構造であるが、それを断ち切る中心は統治機構として強い指導力を持ってきた官僚機構の解体と再編の問題である。この官僚機構の改革を自民党はできない、というのが小沢の意見である。
自民党は政治を官僚に任せぱなしできたから、官僚改革をやるのは自殺行為に等しいともいう。それでも、官僚の不祥事などが浮上し、国民的批判が噴出するから、化粧直しのような改革案でごまかしというのが小沢の見解である。
年金法案も公務員制度改革法案はそのようなものといえる。その点には異議はない。
抽象的な小沢の改革論
小沢は国家の行政の仕組みを変えること、中央集権構造を変えることというがもう一つ抽象的であるように思える。
小泉―安倍の「小さな政府論」は政府の社会的権限を社会的支出と共に削減し、市場原理に委ねていくことであるから、国家の行政の仕組みを小さくしていくようにみえる。小泉の構造改革論が合理的に見え支持された理由である。
彼らの構想は新自由主義の模倣で社会的領域(福祉など)の支出の削減と市場化である。日本の官僚機構の伝統的強さと特権化を是正するための「小さい政府」ではない。国家権力を開き、かつ小さくすることを伝統的な日本の国家の問題として構想していないから、付け焼刃的である。
食糧やエネルギーや人間環境(医療や介護や老後保障)の領域での行政や社会支出を保持し、「モラルのある政府」をという構想やビジョンと「小さな政府」は矛盾しない。これを保持し、官僚機構を改革し合理的なものにする必要はある。その場合に必要な国家権力を国民の側に開いていくという考えが小泉―安倍にはない。
具体的な構想とビジョンが必要
国家の行政の仕組みを変え、中央集権構造を変えることは賛成である。でも、小沢のいうように政権交代したら実現するのではなく、むしろ政権交代のためにその構想とビジョンが必要ではないか。
政党や議会は「官僚機構」に依存しないで政策を立案し、実現していくためには国民(市民や住民)の協力を得なければならない。伝統的に自民党が形成してきた社会的権力との協力関係ではなくてである。民主党が「生活」を理念として掲げていることは社会(国民)に注目していることであるが、その国民がどのように自立し、政治と協力できる関係にいたれるか。市民や住民、あるいは社会的な領域、つまりは生活の場から声が登場し、力になる道を構想し実践できるか。
民主党の歯切れの悪さはこの構想と実践力にあるが、それは我々にも言えることだ。
(文責 三上治)