各党マニフェストでの憲法
衣の下にあるのは鎧か、それとも珠か。政党がマニフェストとして公表したものを読み(ただし新聞に要約されたものではあるが)ながら、思ったことである。
ありたけの美辞麗句で綴ろうとする初恋の文章は愛敬ではあるが、政党のマニフェストなんてはじめからお里のしれたしろものだろう。そうは言ってもやはり無視はできない。そこで核心的な部分を取り出してその論評を加えたい。
自民党の「鎧の下」
二大政党に偏重するわけではないが、自民党と民主党のマニフェストを中心に取り上げる。
自民党のそれには憲法についてはこうある。「2010年の国会での憲法改正案の発議を目指し、承認を得るべく国民運動を展開する」と。
これに対して民主党は欄外に「国民の自由闊達な憲法論議を」と記しているだけである。自民党は2010年に憲法改正の発議を掲げているが、改正の具体的内容はどこにも書かれていない。公明党への政治的配慮か、やはり、鎧は隠す方が賢明と考えたか。
憲法9条の改定に反対する声の高まりの中でなるべく目だたないようにしていると理解すべきであろう。
疑念と批判にさらされるアメリカの世界戦略
自民党の憲法の9条改定が自衛隊の海外派兵にあり、日米同盟の強調の下、アメリカとの連合軍 をめざしていることは明瞭になりつつある。1990年の湾岸戦争以来のアメリカの世界的な軍事戦略に同調し、同盟する戦略に日本の国家戦略を変えること、その仕上げである。
自民党がそれらを憲法改正の具体案に盛り込まずに外交政策の記述にとどめているのは、アメリカのブッシュ政権が進めてきた世界戦略の後退が背後にある。『ニュヨーク・タイムス』がブッシュのイラク戦争を批判し、軍隊の引き上げを提起しているように、今やアメリカの世界戦略は見直しと再編に直面している。その核心点は「地域の人種的・民族的・宗教的紛争(戦争)」の解決は大国の軍事的介入ではできないし、その道は誤りであるというところにある。地域の統治権力を民主化し自由化することは地域の紛争を解決し、防止する道であるが、それは大国の多国籍軍という名の軍隊の介入では不可能であるということだ。
日米同盟というが、アメリカの世界戦略が疑念と批判にさらされ始めた現段階で、安倍やその周辺が構想していた日本の国家戦略も自信を持てなくなっている。それが、このマニフェストの背後にあることなのではないか。
不明瞭な民主党の立場
民主党は憲法改正に賛成なのか、反対なのかを明瞭にしてはいない。
これはアメリカ民主党の「地域紛争」や「対テロ」への対抗案(オルガナーティブな案)が明瞭できないところと似ている。だから国連主導で地域安定の軍事行動に参加するというに過ぎない。地域紛争やテロに対する解決策が軍事やその抑止力では不可能であるという歴史段階でどんな国家戦略を構築できるのか。
非戦を軸にした国家戦略で地域紛争やテロは解決できるのか。戦争という手段を避け、可能な限り小さくしていくと形での国家関係の構築にしかその展望はない。それは地域紛争も究極まで行ききつつある今こそ現実のものとなりつつあるのではないか。
(文責 三上治)